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日本選手権出場権獲得チームはJABA大会をどう戦う? 社会人野球Express vol.8
日本製鉄鹿島・中島監督に聞く
第44回JABA日立市長杯選抜野球大会(日本野球連盟関東地区連盟、大会実行委員会主催)は4月16日から5日間、茨城県日立市の日立市民球場など3球場で行われ、日本生命が初優勝した。
大会に参加した16チームのうち、すでに3チームが春先からのJABA主要大会を制して秋の日本選手権の出場切符を手にしていた。東芝(スポニチ大会)、日本通運(四国大会)、日本製鉄鹿島(静岡大会)だ。こうしたチームは、残るJABA大会にどんな意識で臨むのだろうか。日立市長杯を前に3チームの一つ、日鉄鹿島の中島彰一監督に話を聞く機会があった。
日本製鉄鹿島・中島監督
中島監督は「静岡大会の疲れもあるし、ベテランはある程度休ませたい。都市対抗の予選に向けて新人・若手の底上げも図る」と話しつつ、「でも、毎試合勝利を目指す意識は緩めません」。その理由として過去の痛い経験を明かした。
2008年、中島監督は住友金属鹿島(当時)を率いて四国大会を制し、日本選手権の出場権を得た。以後の大会は主力を温存して臨んだところ、「チーム内に緩みが生じ、ネジを巻き直せないまま、都市対抗出場を逃してしまった」と振り返る。
その反省を踏まえ、今大会では試合ごとにオーダーを組み替えた。予選リーグ初戦のトヨタ自動車東日本戦、第2戦のNTT東日本戦で結果を出したのが新人・陶山勇軌外野手(明大)。2試合で6打数4安打の打率6割6分7厘、1本塁打と活躍し、「静岡大会は優勝に貢献できなかった。悔しさをぶつけるつもりだった」と胸を張った。
日立市長杯で活躍した日鉄鹿島の新人・陶山(左)。トヨタ自動車東日本戦では3ランを放った
一方で日本代表経験もある31歳・高畠裕平外野手は予選リーグの出場機会が1試合にとどまった。「練習試合では味わえないJABA大会ならではの緊張感を味わいたかった」と発奮。先発メンバーに復帰した準決勝・日本生命戦では2安打2打点をマークし、「若手が結果を出しているし、僕らもウカウカしていられない」と言い切った。
日立市長杯で日鉄鹿島は準決勝敗退となったが、中島監督は「次のJABA九州大会では使える選手を見極め、チームの状態を上げていく」と話した。都市対抗予選、さらには日本選手権に向けて、勝利、育成、士気のバランスを意識したマネジメントに注目したい。
【毎日新聞日立通信部・田内隆弘】