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【GRAND SLAM PREMIUM 181】プロと社会人の理想的な未来図とは――大川広誉(三菱重工野球部GM)×牧田勝吾(オリックス球団編成部副部長)対談[前編]

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社会人野球とプロ野球は、かつて長く関係を断絶していた時期もあったが、

現在は人材交流なども盛んに行なっている。

そうした時代に、三菱重工広報部企業スポーツ推進センター副センター長で

野球部ゼネラル・マネージャー(GM)を務める大川広誉氏と、日本通運からプロ入りし、

現在はオリックス・バファローズの編成部副部長に就いている牧田勝吾氏に、

両者の立場から見える野球界の現状と未来図について語り合っていただいた。

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――2022年シーズンのプロ野球は、オリックス・バファローズが見事に日本一に輝きました。牧田さん、おめでとうございました。

牧田 ありがとうございます。今、選手間では『頑張らなければ一軍に残れないぞ』という会話が多く、互いに高め合う競争意識がチーム全体に広がり、それがいい結果につながっていると実感しています。ただ、長い間、勝てない時期もありました。ドラフト会議で豊かな将来性を備えた選手を指名できたからと言って、簡単に勝てるものではない。チームには在籍10年を超えるベテランもいて、その歴史があるからこそ強くなる。要するに、先輩たちが築き上げたものを無駄にしないことが一番大事なわけで、それが2021年のリーグ優勝、そして、2022年の日本一につながったと思っています。

――歴史を積み重ねながらチームを強化していくことは、社会人野球でも同じことが言えると思います。

大川 本当に一年、一年が大切。毎年、毎年、手を抜かずに濃密な一年を積み上げていかなければ、辿り着けないものがあると思います。反対に、チームが弱くなるのは一瞬ですから、まったく気が抜けませんね。

牧田 そこが怖いところですよね。勝って満足して「大丈夫だ」と思ったら、すぐにチーム力は落ちる。

大川 その時々の巡り合わせなどで、運よくいい結果を残せることはあるものですが、それでは長続きしません。真の常勝チームは、着々と前へ進みながら築き上げていくものだと思います。

――チームの強化には、戦力の編成や選手採用(スカウティング)も重要になってきますが、例えば野球部のゼネラル・マネージャーである大川さんは、ご自身の立ち位置、その役割をどのようにとらえているのでしょうか。

大川 かつて当社チームの監督は編成も担い、現場もマネジメントする、いわばGM兼監督のような立場でしたが、現在はそれぞれの役割が高度化されており、フロントと現場の業務を分担した方が高いレベルで上手くいくと思っています。GM制を導入して、最も大切にしているのは現場とのコミュニケーションです。三菱重工East、三菱重工Westの両チームの監督、マネージャーとは毎日のように連絡を取り合い、私の考え、現場の考えを伝え合っています。

牧田 大川さんは、組織作りをはじめ、あらゆる改革を考えておられると思います。野球界全体のことを考えたり、プロとアマチュアの関係性についてもそうですね。

大川 私自身はあまり大それたことは考えていなくて、当社のスポーツチームを強化し、スポーツを通じた活動である『三菱重工スポーツチャレンジ』を推し進めることで、企業スポーツの世界を中心に新しい風を吹かせられればいいと思っています。実際に、他社にも同様の動きが見えますし、私たちは常にその一歩先を行ければいいと思っています。ただ、野球界の未来のことを考えれば、必然的に少年野球、高校野球、大学野球、そして、社会人野球、プロ野球と、野球界の全体像については思いを馳せないわけにはいきません。

【取材・文=佐々木 亨/写真=藤岡雅樹】

※次号へ続く

 

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