JABA

JABA

メニュー

トピック TOPICS

【GRAND SLAM PREMIUM232】二番・向山基生の強力打線でアジア王座を奪還!! 社会人日本代表・川口朋保監督インタビュー《前編》

bnr_grandslam_cmyk.jpeg (218 KB)

社会人野球ファンの皆様、明けましておめでとうございます。

『グランドスラム・プレミアム』では、2024年も日本一を目指してたゆまぬ努力を突ける選手やチーム、

注目の大会に加えて、社会人野球界を支える関係者やOBの方々の声も届けていきたいと思います。

どうぞよろしくお願い致します。

さて、今回と次回は、日本代表を率いて昨年12月の第30BFAアジア野球選手権大会で優勝した川口朋保監督のインタビューです。

 

GSP232-1.jpg

第30回BFAアジア野球選手権大会から指揮を執る川口朋保監督(右)。左は、アジア競技大会から引き続き務める加藤 徹ヘッドコーチ。 【写真=宮野敦子】

 

――川口監督は三菱自動車岡崎を率いた経験もお持ちですが、企業チームと日本代表の一番の違いは、日本代表は大会ごとに選手選考があることだと思います。現在、社会人日本代表は全日本ジュニア強化合宿で計測している個々の選手のデータも参考にしつつ、国内の各種大会やアジア・ウインター・ベースボールなどの経験も加味して選考していますが、今回はどういう点をポイントにされたのでしょうか。

川口 社会人のシーズンは基本的に日本選手権までですから、12月の大会に臨むには、事前合宿でパフォーマンスを上げるなどの取り組みが不可欠です。ただ、今回はアジア・ウインター・ベースボールが1125日に開幕し、私やコーチは先に台湾入りしていたこともあり、日本国内で十分な事前合宿を行なうことができませんでした。そうなると、初めて日本代表に選出された選手は大会中のチームの動き方など、流れがよくわからないだろうと想像できましたので、前監督の石井章夫さんにも相談した上で、経験者を重視したほうがチームはスムーズに動くのではないかと考えました。

――10月のアジア競技大会から時間がない中で監督が代わり、チーム方針など選手が戸惑う場面があるのではないかと懸念しましたが、大会を終えた選手たちが「凄くやりやすかった」と口を揃えたのは、そういう配慮があったからなんですね。

川口 もちろん、選出した選手は経験だけでなく実績もあるわけですが、2022年のU23ワールドカップで世界一になった選手はその自信を、アジア競技大会に出場した選手は悔しさを持ち込んでくれて、それが上手く融合したと感じています。あらためて、チームというのは監督が交代してもつながっているもので、それまでの経緯抜きには考えられない。それがいい方向に働いたと思いますね。

――また、選手たちからは、川口監督のプランや指示が明確だったという話も聞きました。

川口 そうですか。投手で言えば、社会人はプロほど完全分業制ではない。一人ひとりに登板のタイミングや起用法を告げるタイミングは、監督によってまちまちでしょう。ただ、今回のアジア選手権は、オープニング・ラウンドがパキスタン、タイ、フィリピン、スーパー・ラウンドが韓国、チャイニーズ・タイペイと、対戦するチームの力に差がありました。その中で、中心となるのは嘉陽宗一郎(トヨタ自動車)。さらに、経験値を考えれば秋山 翔(三菱自動車岡崎)、渕上佳輝(トヨタ自動車)、加藤三範(ENEOS)が軸ですから、スーパー・ラウンドでの起用法を説明した上で、オープニング・ラウンドはどこで投げたいかを確認しました。

 また、野手については、日本選手権で最後まで戦っていたか、一回戦で負けてしまったか、予選敗退かで実戦感覚に差があるはずですから、コアとなるメンバーを固めつつも、オープニング・ラウンドでは少しでも出場機会を増やして場慣れしてほしいということは伝えました。だから、どんな場面で声がかかっても準備をしておいてほしいと。それに応えて、本当によくやってくれました。

 

GSP232-2.jpg

二番を任された向山基生(NTT東日本)は、最多打点の活躍でMVPにも選出された。【写真=宮野敦子】

 

――二番に置いた向山基生(NTT東日本)が、MVPと最多打点を手にする活躍で攻撃のポイントになりました。

川口 二番の向山はいいでしょう、いいですよね(笑)。一番は出塁率を重視して矢野幸耶(三菱重工East)、二番には長打力のある向山を置き、クリーンアップ・トリオには確率のいい丸山壮史(ENEOS)、逢澤崚介(トヨタ自動車)、猪原隆雅(ミキハウス)を並べました。六番以降は出場機会などを考えながら固定しませんでしたが、個々がしっかりと役割を果たしてくれたと思います。私自身は、ベンチが静かな野球は好きじゃない。かと言って、相手を野次るのはナンセンスです。味方を少しでも勇気づける声を出そうという考えも実行してくれましたし、結果を含めて本当に満足しています。個々に持ち味を発揮してくれた選手、それをサポートしてくれたスタッフの皆さんには心から感謝しています。

【取材・文=横尾弘一】

 

グランドスラム62は好評発売中です!!

GSPPR-62__medium.jpg

紙版(左)、電子版(右)とも、どうぞよろしくお願い致します。